第75章 折れない心
「…………か、……いた……」
「え?」
大きく口を開いた途端、炭治郎の左肩口に噛み付いた白藤。
ガギュ、ごり。
酷く歪な音がした後、炭治郎の悲鳴が上がる。
「が、あぁぁっーー……!!」
ボタボタと血が流れて止まらない。
骨が見えそうなぐらい、深く肉を削り取られて。
「炭治郎!!どうしちゃったの?白藤さん!?」
善逸の言葉はしかし、彼女に届かない。
『オナカガ、スイタ……』
栄養価の高い人間の血肉を食べよう。
『稀血』の人間でも、肉親でも、能力値の高い鬼でも……
「嘘だ……」
愕然とする冨岡を他所に、炭治郎からもぎ取った左腕の血肉を貪(むさぼ)りながら、彼女はギラギラとした視線を巡らせる。