第75章 折れない心
髪に隠れて、表情が読み取れない。
組紐が解けてしまったのだろうか、束ねていたはずの白髪が広がっている。
「鬼舞辻無惨という名の最強の鬼『酒呑童子』と同化した今こそ、真の力を発揮しろ。『茨木童子』」
白藤が茨木童子?
そんな大昔の鬼の筈がない。
伝承の中の鬼。
退治されたと言い伝えられていた、はずだ。
「冗談じゃねェ……」
流石の不死川も思考が追いつかないでいた。
有り得ない。
白藤が例え鬼だとしても、こんな………
「………ぁぁ、ぎ……」
禰󠄀豆子が口枷をしていた時のような、唸り声を上げる白藤。
「……た、………いた」
「白藤さん!!」
炭治郎が臆することなく、近ずいて行く。