第75章 折れない心
私は負けない。
人間相手に負けるはずがない!!
道満は数珠を取り出し、両手に交差して巻く。
「チィっ!!ナウマクサンマンダ……」
力押しで人に押し負けるのならば、アレを覚醒させればいい。
蘆屋道満は印を結ぶ。
「汝、我が式に下れ。『茨木童子』!!」
ドクン。
不自然に鼓動が跳ねた後、白藤の意識が途絶えた。
何だ?
一体、何が起こった?
ひとりでに倒れた白藤。
心配だが、この場所から動く訳にも行かない。
ただ、何か違和感があった。
彼女がむくりと起き上がって、気づいた。
何故、彼女に角が生えているのだろう。
「………」
白藤はなんの言葉も発しない。
ゆらり。
ふらつくように揺れる身体で、こちらへ近づいてくる白藤。