第3章 真っ白な少女と烏たちの出会い
携帯を解約し、RAINだけ新しいスマホに移行させ、私は中学時代の知り合い全ての連絡先を手放した。いいんだ、これで。
「アリィ!移動だよ?」
この学校に来て最初にできた友達、仁花が呼びに来る。レモン色の髪にはちみつ色の瞳。可愛い私の友達だ。仁花は私の赤目を見ても怖がらなかった。むしろ、宝石みたいで綺麗だと言ってくれた。本当にいい友達をもったなぁ。長いからと言って呼びやすいようにあだ名もつけてくれた。
「ごめんね。行こう、仁花。」
机から教科書を取り出して慌てて教室を出る。
『アル!行こ!』
『行きましょう。』
桃色の親友と水色の友達を思い出してしまい、ぶんぶんと頭を振る。
もう忘れよう、そう決めたのに。まだ、あの2人に会いたいと思っている私がいる。
「あー!アリィ!時間ギリギリだよ!」
「大変!走ろう、仁花!」
私たちはパタパタと上履きを鳴らして廊下を走る。こんなこと、前もあったなあ。
「…さつきさん、黒子くん、会いたいな。」
私の小さなつぶやきは廊下を走る私たちの足音にかき消されていった。