第3章 真っ白な少女と烏たちの出会い
アルメリアside
教室に入る前にカバンから伊達メガネを取り出してかけた。これで少しは目のことをとやかくは言われないだろう。
教室のドアを空けて、席を確認し、腰を下ろす。
「「「「寒っ!!」」」」
「あ、あの子!!」
「え!?超美人じゃん!」
「肌白ー!髪もさらっさらだし!」
「俺5組で良かったわ!」
周りのそんな声は私の耳には届いていない。私はカバンから文庫本を取り出して読み始めた。彼ががくれた大切な思い出の本を。
入学式も無事に終え、私は家へと帰るはずだった。
「し、白銀さん!RAIN教えて!」
「ずるい!私も!」
「俺も!」
教室を出ようとすると、クラスメイトに捕まった。
「RAIN、ですか。ちょっと待ってください。」
カバンからスマホを取り出し、QRコードを差し出す。次々と友達の追加の通知がなり、終わるころには大量の通知が来ていた。
「…あ。」
確認し終えて、メールを開く。1番上に見覚えのある名前があった。
「黒子くん…」
中学を卒業してからは会っていないが彼は元気だろうか。いや、正しくは中学をでてからだ。卒業式には参加しなかったから。
「こんな私が連絡なんて、出来ないよ…」
彼と親友を置いて逃げ出したのだから。同じ思いをしたはずなのに。
携帯をポケットへ入れて、私は教室をあとにした。
…機種変しよう。そう心に決めて。
彼からのメールは開くことなく消えていった。