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【鬼灯の冷徹】あの世の行い気をつけて【トリップ長編】

第5章 地獄DEショッピング


昼なのに色気を帯びた女性が格子扉の隙間から手招きする、見世の中に佇む女郎は綺麗に微笑んで「遊んでお行きよ」と道行く男に声をかける。
鼻を伸ばした男が花へと引き寄せられる、それは擬態した蟷螂とも知らず。所変われば貫一お宮のごとく跪き愛を叫ぶ者と一瞥もせず冷たく突き放すもの、ただこの場合突き放ばされるのが男だが。
想像より生々しい、懐かしい香りのする地獄の中を歩けばポロリと言葉が漏れて
「…ここは飛田か吉原か?」
「あら、少し刺激が強かったかしらァ。ちゃんと指導してるのに何日かすると皆あやふやにしちゃうのよね。」
そういって溜息を吐きながら姐さんは私の先を歩く。…今の発言が特に問われないと言うことは、いよいよ私がどう思われてるか判らなくなる。
「あの、鬼灯様から私が生者って事以外何か聞かれてますか?」
周りの人に聞かれないように声を控えて問いかける。姐さんは少し悩んだような声をのばした後に「特に何も。ただ鬼と違って力がないから無理はさせないように、としかきいてないわ。」
軽く首を左右に振る。それを聞いて私は無理矢理微笑みを作り
「そうですか、なら私からも特にお伝えすることはないです。」
笑顔で隠し通そう。今伝わったら私は即Uターンで買い物ができなくなる(女性の多い地獄なので福利厚生で割引や給料天引きのできる女性向けショッピンモールがこの地獄の外れにあるそうだ。あまりの地獄の多様性に本当ビックリした!)着の身着のまま地獄に流れ着いた身としては今日の買い物が後に流れる事だけは避けたい。
「それじゃあ葎華ちゃん、そろそろショッピングモールに着くから…一度必需品だけ買ったら後は自由に散策して、帰る前にお茶する感じで良いかしら?」
「そんな感じでお願いします。」
和気あいあいと話しながら進めば目の前に【畏怨】とかどこぞのショッピングモールとそっくりな看板を見つけ、意外に多い鬼の人混み眺めながら私達は自動ドアをくぐった
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