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【鬼灯の冷徹】あの世の行い気をつけて【トリップ長編】

第6章 初めてのお使い~桃源郷編~


「へー、アイツの部下なんだ。意外だね。お香ちゃんの部下かと思ってた。」
「部下と言いますか、詳しく言うのもアレなんですが色々ありまして…基本的には雑用しかしてませんよ。」
「ふーん。」
「俺とおんなじ感じですね。俺も白澤様に誘われて今住み込みで働いてますし。」
お茶を頂いて話しだしてからそこそこ時間がたった。結局桃太郎さんが部屋に来ても口説かれ続けたんで「じゃあお友達でいいです。桃太郎さんとも良かったらお友達になりたいです」と早々に宣言した結果「友達になったんだから、お互いの事知りたいな。少し位ゆっくりしていきなよ。」との話に持ち込まれ、この状態で落ち着きました。
お店の扉に差し込む光がだんだんと赤くなってきた。このままだと就業時間中に報告するのが厳しくなってくるな。
「…と、そろそろいい時間ですしお暇しますね。」
「えー、もっと葎華ちゃんと話してたいな。」
「そうもいきませんよ、白澤様。そろそろ店仕舞いの準備とかしなきゃなりませんし。」
その言葉に乗じて風呂敷袋を机の上に広げてから白澤様に小包を渡す。
「では、約束の漢方を頂けますか…あ。お代の方は此方に。金額あってますか?」
その言葉に中からお札を出して数を数える。…少し表情が厳しくなった。あー、流石に少なすぎたかな?
「うーん、ちょっと少ないけど葎華ちゃんに免じて負けてあげる。じゃあタオ太郎くん、そこの棚の一番前に入ってる漢方一式取ってくれるかな?」
「はい、えっと…飲み方の書いてある紙も入ってますし、問題ないです。」
ほっとして胸を撫でおろせば桃太郎さんはテキパキと動いて風呂敷の中に薬を入れて縛ってくれる。ついでにいくつかの注意事項とかを教えてくれるその姿は立派な薬師だ。
「・・・て事なので宜しくお伝えください。」
「はい、有難う御座います。桃太郎さんもお仕事がんばって下さい!」
風呂敷を受け取りお互い笑う。その様子に少しぶー垂れた様子で机に頬杖をついた白澤様が
「僕にはないの?」
というのが何か可愛くて、そっと頭を撫でてから立ち上がり
「白澤様も頑張って。じゃ、また今度。その時はきちんと遊びに来ますから!」
両手を振って扉をあけ振り返れば見送りに一礼する桃太郎さんと、一瞬ほろけた後ニヤっと笑い手を振る白澤様が見えて。
此方も深く一礼した後に外へ出て建物を背にして歩きだした。
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