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【鬼灯の冷徹】あの世の行い気をつけて【トリップ長編】

第5章 地獄DEショッピング


心地よい眠りを妨げる声がする…誰だよ、私は昨日歩き回って疲れてるんだ。もう少し寝かせて朝ご飯いらないから
此処まで考える頃には意識が浮上してきて、呼びかけている声がお香姐さんであること。そして「葎華ちゃん?起きたかしら…お部屋入って良いのかしら」の声がスッと頭に入ってきた。
「は、はい!ごめんなさい、今起きました!」
幸か不幸か昨夜クタクタに疲れてしまい帯を解いて足袋を脱いだところで寝てしまったらしく多少の寝癖が服装に表れているが一応の体裁は整えられいていたことを確認すると、慌てて寝間着代わりの浴衣の半幅帯で軽く胸を締め手櫛で髪を整えてから閉じられていた扉を開き頭を下げる。
「おはよう葎華ちゃん。着替えの上にメモ書き残したんだけど、気付いてもらえたかしら?」
「その、見てません。昨日仕事終わり疲れちゃってそのまま寝ちゃうとか…本当にすみません。」
「あら、お仕事初日で疲れちゃった?もし体が辛い時は早めに言って頂戴ね。」
優しい笑顔でミスに何も追求しない姐さんの姿に、唐瓜がホレるのも致し方ないと思いました。はい。
再度深く頭を下げてから
「はい、もう次から寝坊しません!目覚まし時計も活用します。」
と言えば、にっこり笑って私の肩を押しながら部屋の中に入ってきて、持ってきた風呂敷の中から新しい着物と襦袢、その他もろもろを私に渡しながら
「そう、じゃあ期待して待ってるわ。それじゃあお風呂の後に着替えて…このままじゃお買い物行けないもの。」
「買い物?今日はお休みなんですか?」
新しいタオルセット片手に脱衣所に向かっていた私は扉から首だけ覗かしてお香姐さんの話を聞き返す。姐さんは私の脱ぎ散らかした服達を拾い上げて畳みながら口を開いた
「いいえ、衆合地獄の見学兼適応力の検査、ですって。実際は『雑貨の類を買ってやって下さい。恐らく必要としている物もあるでしょうし』って鬼灯さんが言ってて。」
ああ見えて優しいのよ、という姐さんの表情が美しすぎて辛い。正直私の過去を知っててこの速度でソコに派遣されるのは大変息苦しいですが鬼灯様の命令とあっては逆らえません。
「・・・それでは、案内お願いします、お香姐さん。」


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