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〈HQ〉いいなりマネージャー【稲荷崎/R18】

第5章 霜天のブルーデイ《短編》





〈 side 侑 〉



サムと銀が穂花と話しているのを横目に見つつ、気にかけないふりをして体育館へと駆け抜けた。




そして現在、放課後練の時間。



ボールが手にしっくりとこない。



いつもならバレーだけにどっぷりと熱中するこの時間。

今は何か心にひっかかるものがあって。いまいち深く集中できていない自分がいる。





その理由がどんなものかなんて、本当はとっくに分かってる。




ーーくっそ、アイツなんで風邪なんてひいたんや。




この前体調を崩して主将からお咎めを受けたことに加えて、マネージャーの体調不良の直接の原因である可能性が高い以上、穂花を責めることがお門違いだとは理解しているのだが。




胸底からふつふつと沸き上がる苛立ちを、どうしても抑えることができない。





ーー本当は、アイツにイラついてるわけやない。




己の管理能力の欠如で風邪をひいた挙句、それを大事な仲間に移してしまった自分の不甲斐なさ。


そして、消化しきれない気持ちから帰り際に見送って、労わる言葉のひとつすらかけてやらなかった後悔。





グズグズとした煮えきらない思いが、重苦しく心を蝕んでいた。







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