第4章 終わりのないメランコリー《宮治》
部活後、宇佐美と帰ることは結構多い。
一応女子だしひとり暮らしもしてるから、夜道を歩かせるのは危ないという部活での暗黙の了解の元、誰かが家まで送り届けるってのはよくあることだ。
ツムや角名、銀や北さんが来ることもあるけど、たぶん回数では俺が一番多い。
クラスがおんなしってのもある。
アホみたいに喧しいツムや、何考えてんのかイマイチわからん角名より俺の方が話しやすいってのもあるかもしれん。北さんだとたぶん緊張するやろうし。
だけど、もっと理由は単純で。
俺が穂花のことが好きやから。
出来るだけ一緒におりたい、アイツらよりも俺のこと見とってほしい
そんな下心もあってか、今日も俺はマネージャーを送り届ける役に立候補する。
まあ穂花は筋金入りの鈍ちんやし、そんなこと全然気付いてへんようやけど。
一緒に帰るのは不定期やけど、大体水曜日は帰路を共にすることが多い。どっちかが言い出して約束をしたわけでもなくて、自然と集まって一緒に帰る。その関係が心地よかった。
それにマネージャーの視線の先にはいつだって北さんがいる。
主将を見つめている穂花をみると、腹の中でドロドロとした黒い感情が生まれるのがわかる。
だからと言って、思いを告げてこの関係を変えるつもりもそこまでなくて。いつか北さんやなくて俺の方に振り向いてくれたらええなあ、そんな程度に考えていた。
でもあの日、
部活が終わってからどれだけ待っていても、マネージャーが姿を現すことはなかった。