第3章 HBD 愛すべきツインズ《番外編》
『ほら、侑と治!ケーキの前座って!』
マネージャーに促され、ケーキの正面に座る。
結構な大きさがあるそれに圧倒されていたが、ふとチョコレートのプレートに書いてある文字が目に止まる。
「……何なん、この"あつむちゃん&おさむちゃん"て…?」
「それもアラン君や」
「可愛いし、ええやろ!」
「せやでツム。どうせ味は変わらんのやし。」
「お前は食うことばっかやな!」
「火ぃ付けたんやから静かにせえ。」
「「ハイッ!!」」
北さんの圧に押され、口を噤む。
部員みんなが周りを囲むように座り、バースデーソングを歌ってもらった。
\\\ ♩ハッピーバースデートゥーユー♫ ///
『17歳おめでとう!侑!治!』
「「ありがとうございますっ!!」」
苺のショートケーキの上に、綺麗に並べられた17本のロウソク。
炎が灯されたそれを、隣の治と勢いよく吹き消した。
さっきまで抱えていたイラ立ちや悲しみは全部すっかり消えていた。
やっぱり俺、この人達と居るんが心地ええなぁ。
少しでも長く一緒にバレーするためには、勝つしかあらへん。
春高こそは全員ぶっ倒して、最後までコートに立つんは俺たちや。
「………気合入れてくで、サム」
「? せやな」
「…ってオイ!それ俺の分やんけ!クソ治!」
「うっさいわ、早い者勝ちやねん」
「はあ?!何やそれ等分した意味ないやんか!!!」
「「「双子喧しいわ!!!」」」
またギャーギャー騒ぎはじめて、「兄弟喧嘩はウチでやれや」と北さんからお咎めを受けるまであと少し…………