第1章 始まりのナイトメア《宮侑》
〈side 侑〉
部活の後、自主練を終えて帰ろうとすると
部室に電気がついているのが見えた。
不思議に思って静かにドアを開けると、
大切そうに一枚のユニフォームを抱く穂花の姿が。
『北さん……』
そう呟く彼女を見て、俺のなかに得体の知れない黒い感情が湧き上がるのを感じた。
そしてある考えが浮かんだ俺は、まだこちらに気付いていないマネの姿をスマホで撮影し、声をかけた。
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『あ、つむ、、何で、、』
全員帰ったと思ってたらしく、俺に声をかけられた穂花は顔面蒼白だ。
急いで、腕の中に抱いていた背番号1番のユニフォームを、北さんのロッカーに突っ込んだ。
いや、もう手遅れやけどな。
『練習は終わったはずじゃ、』
「ああ、俺は残って自主練しとったんや」
「にしても、マネにこんな変態趣味があったなんてなあ」
俺はひどく動揺している穂花に、わざと追い打ちをかけるような言葉を投げかける。
「マネージャーが、ひとりこそこそ部員のユニフォームを嗅ぐ変態女だって知ったら、北さんはどうするんやろか」
『嗅いでなんて…っ!』
「でもこの写真見せて俺が証言すれば、さすがの北さんやって信じるやろ」
スマホで撮影した写真を見せるとマネージャーの顔は一層青ざめる。