第3章 HBD 愛すべきツインズ《番外編》
〈 side 侑 〉
結局あれから何も頭に入らんかった。
数学でも英語でも国語でも指名されるし、ほんま何っなん!
不貞腐れてて机に突っ伏しとったら、銀が購買で買うたパンをくれたからまあ許したるけど。
俺今日誕生日やのに、とんだ災難やわ。
クラスメートと顔も覚えていない女子たちからは、祝福の言葉やプレゼントを貰った。
廊下を歩いていると、同級生だけやなくて先輩や後輩の女子達からも押し付けられた。
それだけで鞄から溢れ出すぐらいの量にはなっているけれど。
足りんねん、こんなんじゃ。
どんなに沢山プレゼントを貰うたって意味があらんのや。
あいつらに祝うてもらわな、全然嬉しない。
はあ……と溜息が漏れる。
まあ、部活の時には思い出してるかもわからへんしな。
そんな微かな期待を捨てきれず、顔を伏せた。
「はよ放課後にならへんかなぁ………」
俺の痛切な呟きは、昼休みの喧騒に掻き消されてしまった。