第3章 HBD 愛すべきツインズ《番外編》
〈 side 侑 〉
くっそ、治の奴ほんまに置いていきよって…
片割れに先に行かれてから暫くして、やっと俺も部室に到着した。
「おはようございます〜」
「おはようさん、侑。」
扉を開けると、そこに立っていたのは北さんで。
いつも通りの様子に軽く拍子抜けするが、まだ期待を捨てきれず北さんの方を見つめた。
「なんや。何か言いたいことあるんか?」
有無を言わせない鋭い眼光に思わずたじろぐ。
「い、いえッ!」
「もう他の奴らは準備終わってんで。早うせえ。」
「ハイっ!」
その迫力に気圧され、渋々準備を進める。
これは…………本格的に覚えてへんやつやな……
いやでも、ひとりくらい覚えててくれる人もおるはず…!
そんな甘い期待を抱きつつ、みんなが集まる体育館へ走って行った。
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「なんっで誰も覚えてへんのや…っ!」
結局何事もなく朝練は終わり、教室へ向かうことに。
なんかここまでくると、ほんまに今日が誕生日やったか怪しなってくるな………
あれ、今日って10月5日やんな……?
そんな風に悶々としていると、昇降口で知らん女子たちに囲まれた。
「「「侑くぅ〜〜ん!お誕生日おめでとぉ!♡」」」
「ああ、ありがとうな…!」
どっさりとプレゼントを渡される。
いつもなら適当に愛想振りまいてあしらうとこやが、
今日の俺にはなんかめっちゃ沁みて。
やっぱり今日は誕生日なんやと実感して、若干涙目になる始末。
感傷に浸っていると、ツムと角名と穂花が談笑しながら教室に入って行くのが見えた。
『あ!治にプレゼント渡すね!』
その言葉が聞こえた途端、俺の身体は勝手に動き出していた。