第3章 HBD 愛すべきツインズ《番外編》
そこには走ってきたのか息を切らしたアラン君の姿が。
「いやー、遅くなってすまんな!チョコレートのプレートに書いてある文字が"あつむちゃん&おさむちゃん"になっとってな。直しましょうか?って言われて悩んだんやけど、まあ双子やしええやろと思ってそのままもらってきたわ!」
『……ちょっ、アラン君!』
慌てる宇佐美の制止の声も聞こえていないのか、早口で捲し立てる。
「このケーキ、監督んとこの冷蔵庫で冷やしてもろうてくるな!」
サプライズ上手くいくとええなあ、と頬を綻ばせながら大声で言うアラン君と目があった。
「……え、治…?………なんで、、おるん?」
一瞬にして冷や汗ダラダラの顔面蒼白になるアラン君が可笑しくて吹き出しそうになったが、それどころではない気まずさに襲われる。
「あーー……なんかすんません…」
いたたまれなくなって頭を下げると、北さんから声をかけられる。
「もうええて。
バレてしまったもんはしゃーないやろ。
治も謝らんでええ。
まあ誕生日はもう一人おるんやし。
治、このことは侑には秘密にしといてや。」
「っ、はい」
「いやあ、ほんますまん…!まさかこんな早くに居ると思わんかったわ…」
落ち込んで肩を落としているアラン君に、宇佐美が励ますように声を掛ける。
『そんな気にしないでアラン君、たまたま治も早かっただけだし!』
「そうですよ、何なら最初にもうコイツがバラしかけてましたし」
『……くっ…』
角名のフォローしてんのか貶してんのかわからん言葉に口を噤むマネージャー。
『あ!でもこれで治には言ってもいいんですよね?!北さん!』
そう宇佐美が問いかけると、「ああ、せやな」と頷く主将。
『改めまして、治ハッピーバースデー!』
「「「「おめでとう、治」」」」
思ってもいなかった祝福のされ方に驚いたものの、
胸があたたかいもので満たされるのを感じた。
「ありがとうございます、!」