第3章 HBD 愛すべきツインズ《番外編》
〈 side 治 〉
誕生日やのにとかぶつぶつ文句垂れてたツムを置き去りにして、
先に部室に到着する。
「おはよーございまーす」
「「「『!』」」」
扉を開けると、少し驚いた様子でみんなが一斉にこちらを向いた。
あれ、いつもこの時間こないに人多かったっけ。
「おはようさん、治」
まだ朝練開始30分前にもかかわらず、もうすでに部室の掃除に取り組んでいる北さん。
一体いつから来てるんやろか。
ほんと、この人には隙があらへんな。
『おはよ〜治!お誕じょ……んぐっ!』
一緒に掃除してた宇佐美が声を掛けてくるも、その言葉は途中で角名の掌によって遮られる。
なんやこいつら、ちょい距離近すぎへんか?なんて少しモヤモヤとした感情が生まれた。
「…おはよ、治。今日早いじゃん。」
「ああ。朝からツムが喧しかっててん。」
何やら少し怪訝な表情で聞いてくる角名に、俺なんかしたか?と考えるも心当たりはなく。
口を抑えられてジタバタとしていた宇佐美を解放し、角名が何かを囁いている。
『…ぷは、っ!…すな!』
「いや、アホでしょ……。サプライズって言ってたじゃん」
『うっ……ごめん、』
「俺に感謝してよね」
小声で話しているから内容は聞き取れなかったが、なんだか蚊帳の外にされているような感じがして面白くない。
まあええわ、朝練の準備でもしよ
そう思って着替え始めると、バタンと勢いよく開く扉。