第3章 HBD 愛すべきツインズ《番外編》
「なんでや…!」
翌朝。
3時までスマホと向き合い、部活のメンバーからのお祝いLINEを待っていたにもかかわらず、結局きたのはクラスメート何人からのみ。
あとはよく知らん女子共からもきとったけど、そんなんどうでもええ。
何度画面を見ても、肝心の部員からのメッセージは届いていなかった。
「お前、早く準備せんと北さんに『誕生日は遅刻してもええ日なんか?』ってどやされんで」
俺先行くからな、と無情にも遠ざかっていく片割れの背中。
「ちょ、っ……待てや!」
ハネていた寝癖を直し、慌てて身支度をして家を飛び出る。
なんやねんみんな、今日が何の日か忘れてしまったんか
あれだけ数週間前から、部活中に誕生日アピールしてきたのになんでや!
…まあでもまだ朝練の時に祝ってくれるかもしれんしな
そんな淡い期待を胸に、澄んだ空気に金木犀の香りが漂う秋晴れの空を見上げた。