第3章 HBD 愛すべきツインズ《番外編》
〈 side 侑 〉
10月5日。
1年に1度だけ訪れるこの日は、俺らが主役になれる特別な日。
ベッドの中で時計と睨めっこしてた俺は、表示が23:59から0:00に変わった瞬間、下の段で眠る片割れに声を掛ける。
「サム!10月5日になったで!俺らの誕生日や!」
「誕生日初っ端に聞く声がお前とかテンション下がるわ」
「なんやとクソ治!お前なんか今日1日誰にも祝われんかったらええんや!」
「誕生日で騒ぎすぎやねん、5歳児か」
「はあ?!なんや、やるんか?!」
思いのほか冷ややかな反応に面白くなくて反発するも、
もう眠ってしまったのか返事はない。
不貞腐れて寝返りを打つ。
まあええわ。
そのうち誰かからお祝いのメッセージでもくるやろうし。
部活のみんなからも来るかいな。
北さんやマネージャーはなんて送ってくるやろうか……。
そんな風にワクワクしながら、スマホを握りしめた。