第2章 次なるミゼラブル《角名倫太郎》
そう言って、ポケットから取り出したスマホで例の音声ファイルを再生する。
倉庫に共鳴する女の喘ぎ声。
侑との情事中のマネージャーの声だ。
宇佐美の顔がどんどん青ざめていくのが、薄暗い倉庫の中でもわかる。
「あとマネージャーが探しているのってコレ?」
言葉が出ない宇佐美の前に臙脂色のヘアゴムを差し出す。
「探してたみたいだけど……見つかるはずないよね。
だって俺が持ってるんだから。」
『これ……見てたの………、?』
「驚いたよ。まさか部室で侑とマネージャーがヤってるなんてね。」
「このことがバレー部のメンバーに知られたらどうなるだろうね。
侑はウチのチームに不可欠な選手だし……最悪マネージャーが退部とか?」
勿論そんな事にはならない。
宇佐美を誰より大切に思っているのは、あの主将、北さんだし。
もし発覚したとして、お咎めを喰らうのは日頃からセクハラ行為を行なっている侑の方だろう。
でも、選手を第一に思っているマネージャーがそんな事を知る由もなく、
『すな……、お願いします………このことは…、』
涙を滲ませながら、やっとの思いで懇願してくる。
「どうしようかなあ。こんな面白いこと知っちゃって秘密にしておくのもな。」
わざと突き放すような態度をとると、より一層悲壮な表情になる宇佐美。
『……なんでも、、する、から………わたしは…、どうすれば、いい、ですか…、?』
「へえ。話が早いじゃん。」
予想通りの展開に、歓喜でゾクゾクとした。
「じゃあ侑と同じこと、してもらおうかな。」
「俺の性奴隷になってよ、マネージャー」