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〈HQ〉いいなりマネージャー【稲荷崎/R18】

第2章 次なるミゼラブル《角名倫太郎》





「ねえ、今マネージャーの声がしなかった?」


「ん?宇佐美のか?いや、何も聞こえんかったけど、」




夕食のことばかり呟いている治に問いかけるも、答えはNO。

隣の治に聞こえていないなら、気のせいかもしれない。







その時、ある一つの考えが浮かんだ。









侑のロッカーを確認してみると、まだ荷物が置いてある。


つけっぱなしだった蛍光灯。


そして落ちているヘアゴムと宇佐美の声。










今までの違和感が確信へと変わった瞬間だった。










もし俺の考えが本当だったら、なかなか愉快なことになってくるなあ。

侑もやってくれるね。






そんな風に考えつつ、治には見えないように臙脂色のヘアゴムをポケットに仕舞った。






「じゃあ帰ろうか、治」


わざといつもより大きめな声で言う。
治は首を傾げていたが、大して気にも留めず「そやな」と言って2人で部室を出る。




「あ、ごめん。部室に忘れ物したわ。先帰ってて。」



校門をくぐったあたりで、そう告げて治と別れる。

そのまま部室へと向かった俺の耳に、聞き覚えのある男女の声が聞こえてくる。




静かに扉の前まで近づくと、声の主がはっきり分かった。

自分の推理が当たっていたことを確信し、自然と口角が上がる。





ポケットからスマホを取り出し、録音ボタンをオンにした。







こんな面白いこと、利用する以外ないでしょ?






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