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【イケメン戦国】雑記こもごも—短編集―

第6章 悩み悩まし(家康)


「そんな可愛い事を言って、俺を試してるの?俺がどれだけ好きって言っても、どれだけ大事にしても、他の男に嫉妬しても、甘やかしても、まだ全然足りないみたい」

家康は自分でも自分の体温が上がってゆくのを感じる。

最初は自分の言動一つに面白いくらいに動揺していた夜長が、段々と「どうせ本心じゃないんでしょ」「また強がってるね」という顔をする様になり、今では自分が夜長の言動一つに動揺してしまっている。

それで良いと思いながらも、男女に関わらず他の人間が絡んだり、あまりに無自覚無頓着だと「いい加減に察してよ」と思うのだ。

そして今も、家康の心をざわつかせたまま無邪気な顔を見せている。

「違うよ!」
「違わない」
もう漢方など今はどうでも良い。
未病も体調も知った事ではない。
家康は夜長をそのまま押し倒すように組み敷いた。
「家康……?」
目をまるくする夜長を家康は間近に見つめる。
「ねぇ、夜長は月の物のせいで身体が辛かったり、冷えに悩んだりするって言ったよね?」
不穏に笑う家康。
夜長も戸惑い、警戒する表情をするが、家康が優しい手つきで頬を撫でると、安心した様に笑う。

今のうちに束の間の安心感を味わえばいいと、家康はやわらかな白い頬を撫で続ける。

「うん、それを相談したかったの」
「俺が全部解決する。薬なんていらない」
両頬を包むように両手で挟んで優しい声で言う。
夜長は首を傾げて相変わらず無防備だ。

「針灸、とか?」
馬鹿なのか鈍感なのか深刻に冷えを治したいのか、家康は思わず目を眇めた。
「この体勢でよく呑気に間の抜けた事を言えるね」
「……」
「身籠れば月の物はしばらく来ない。子供も好きなんでしょ?だったら今すぐ孕ませてあげる。解決でしょ」

家康の口からあまりに率直な言葉が出てきて夜長はあからさまに動揺した。
熱い手で頬や首筋を撫でられながらそんな事を言われると背から腰にかけて、甘い痺れを感じるのだ。

「俺は最初からその覚悟で抱いていたのに、あんたは正反対の事を考えて気にしてたなんて、許せない」
やわらかな癖っ毛が頬にかかり、やや獰猛な、熱っぽい目で身体を重ねてくる家康に夜長は焦りながらも、ただの誤解だときちんと言いたい。

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