第6章 悩み悩まし(家康)
家康は宣言通りに何度も夜長を抱いた。
最後はもう夜長はくったりと力が抜け、意識がほとんどない。
温かく締め付ける夜長の中に、既に溢れる程に注いだ熱を最奥に擦り付けて家康は夜長を抱き締めた。
上ずって掠れた甘い声、涙に濡れた大きな目、上気した頬に、汗でしっとりと濡れた艶やかな髪。
家康は満足げに抱き締めたまま額に口づけ、「ほんとに可愛いから困る」と、心地の良い気怠さに身を任せて夜長と身体を重ねたまま浅い眠りに身を任せた。
――後日。
家康は数種類の薬を箱に入れて夜長に渡した。
「ありがとう、家康。貧血の時、手足の指が冷たくて困ってたから嬉しい」
箱を覗き込んで言う夜長に家康はどこか不敵な笑みを浮かべている。
まるで敵を毒殺しようと狙う刺客の様な笑みだ。
夜長はそんな家康に気付かず、ただ薬の種類が多い気がして首を傾げている。
「なんだか色んな薬が入ってるね。心配かけちゃったみたいだけど、嬉しい」
呑気に感謝する夜長に家康は不意打ちに口づける。
「っ……?ん、……ぁっ……」
「……俺にも関係あることだから」
「え?う、うん」
家康の様子に戸惑い照れる夜長が愛らしくてならない。
「だから早く身籠れるように、そういう効能があるっていう薬草を調合しておいた」
「……っ!」
真っ赤になった夜長にもう一度、触れるだけの口づけをして夜長の細腰に手を伸ばした。
「俺も改めて考えてみたけど、俺は早く欲しいみたい」
「家康!そ……そういうのこそ、無神経……っ!」
「俺の子、いらないの?」
意地悪な問いかけに夜長は「そんなこと言ってないよ」と益々赤くなる。
「じゃぁ、早く孕んでね」
耳元に囁き、ささやかな仕返しをした家康は夜長の赤くなった頬を甘い手つきで撫でた。