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【イケメン戦国】雑記こもごも—短編集―

第6章 悩み悩まし(家康)


戸惑う顔の夜長に、家康は不機嫌に言う。

「夜長は子供、欲しくないの?それとも子供が嫌い?そんな風に見えないんだけど。むしろ好きそうだし。以前も子供の話をしたけど、笑って嬉しそうにしてたよね」
「子供は……可愛いと、思う」
素直にうなずく夜長に家康は不可解な顔になる。
「じゃぁ、欲しいんだよね?」
「それは、いずれ欲しい……けど。子供って、生活が安定してから作るものだと……あ、そっか。そういうのも考え方、違う?」
夜長の言葉に家康は心底ため息が出る。

「あのね、安定ってどういう状況を考えてるの?そりゃ太平を目指してるけど、明日明後日に成し遂げられる事じゃないんだよ。そんなの待ってたら何時になるかわからないでしょ」
「……そっか」
感心した顔で言うのも何かが違う。

目から鱗、という表情に家康はもどかしい気持ちになる。

「それに何よりも、俺は子供なんて考えた事ないけど、あんたが身籠るのは嬉しい。跡目とか関係なく嬉しいよ。そもそも、身籠って困る相手を抱いたりしない。あんたが俺の子を身籠るのを困るなんて言うの、嫌だ」

夜長は真剣な目で率直に言う家康にふと気が楽になった。
「うん。ごめんね。私、自分が身籠ったりしたら家康が困るんじゃないかって思い込んじゃって。だから私も困ってたの」
面映ゆそうに、それでいて嬉しそうに言う夜長が憎らしく思える。

自分の気持ちが伝わっていないのかとも苛立つし、知っているくせにそんな思い違いをしているのかと腹立たしい。
何より、これだけ自分を振り回しておいて、少し愛らしく笑うだけで自分を手なずけるのが悔しい。

「今まで何度も抱いてきたのに、ずっと気にしてたの?」
「いつもじゃないけど、もし身籠ったらどうしようって、ちょっと不安だった」
苦笑する夜長を再び抱き締める。
「ほんとに馬鹿だね。もっと早く言えなかったの?」
「だって……」
夜長の腕が家康の背に回る。
「そんな事を言って、家康が……抱いてくれなくなったら、寂しいなって」
「……あんたって、思った以上にずるいね」
不満に満ちた顔で言う。
「え?」
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