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【イケメン戦国】雑記こもごも—短編集―

第5章 患い煩い(家康)


見かけではわからなかったけれど、家康の肌が熱い。
心臓も騒がしい気がする。

「あんたのせいで、毎晩同じ布団で抱き締めてる相手に恋煩いをぶり返した。あんたのせいでしょ」
拗ねた顔で睨まれても夜長はただただ体調不良でない事に安堵し、その理由も家康らしくて笑ってしまう。

「良かったー……」
「良くない。男の身体がどれだけ単純で厄介か分かってないでしょ。抱き締めてるのに抱けないのなんて生殺し。こっちの気もしらないですやすや寝てるし、俺は二日で限界だったのにあんたはちっともねだってこないし。それどころか変わらずぐっすり寝てるんだから、早くも倦怠期かと絶望していた」

まるで夜長が意図的に拒んでいたような言い方で不満そうに言う。
「それは、家康が勝手に始めた我慢比べでしょ!というか、そんな事考えてたのも知らなかったんだから私は悪くないじゃない!」

少し恥ずかしくなりながらも抗議するが、家康は少しも引かない。

「悪い。夜長が悪い。限界超えてから十日間も耐えてたんだよ。あんたが普段通りくっついてきたり、触れるだけの口づけをしただけで身体が反応しそうでずっと悶々としてた」
「……だから、朝、口づけた時に身体が強張ってたの?」
「そう」
「そっか」
聞いてしまうと、どう話を続ければ良いのか分からなくなり、夜長は仏頂面の家康と向き合って言葉に詰まる。

「……家康」
「なに?」
「えっと、私からしたいって言わないから、言うまで我慢しようとしたっていう事、だよね?」
「そう言ったでしょ」
「じゃぁ、……家康が欲しい」
「っ……!」
今度は家康が息を吞んだ。
「……「じゃぁ」ってなんなの。渋々言わなくていい」
「違うよ。私、家康と一緒にいたいもん。家康にいっぱいくっついて、好きって言いたい」
「……あんた、わざと焦らしてたの?」
「違うよ!」
「無理に言わなくていい」
「無理じゃない」
「いいって」
「よくない。ほんとに家康が欲しいの」

家康の拗ね方も拗ねる理由も可愛いと思いつつ、なんだか薄情な事をしてしまった気がし、家康が物足りなさに悩んでいた事が申し訳なく思いつつも、考えている内に心から家康と触れ合いたいと思ったのだ。

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