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【イケメン戦国】雑記こもごも—短編集―

第3章 名月や(謙信)


「「あの上杉謙信も愛した笹団子」っていうのがあるよ。ほら、米所だし。そもそも信玄様の信玄餅も謙信様の笹団子も、どちらも戦の携帯保存食料だったっていう話だけど、いざその乱世に来てみるとそれらしい物があちこちにあって。謙信様が特別笹団子代表というわけでもないと俺は思うんだけど」
至極真面目に話す佐助に信玄と幸村は笑いが止まらず、幸村は「もう駄目だ、腹がいてぇ」と言っている。
「「笹団子代表の上杉謙信」か。なかなか可愛らしいではないか」
信玄もクックッと笑いを押さえられない。
甘味好きな夜長は思案顔だ。
「でも、結局ご当地名物ってお饅頭とかお団子、お煎餅が多いから後世に名前を残したら皆何かしらに使われていると思うんだけど」
夜長が言う。
「俺も同意見。ついでに言うならお二人の「甲斐の虎」「越後の龍」の二つ名もきちんと残っていますよ」
佐助が淡々と言う。
夜長が思い出したように口を開く。

「私、それもちょっと引っ掛かっていて。謙信様は幼名に「虎」が何度も付いているでしょう?それなら「越後の虎」でも良いと思うんだけど」
謙信の生い立ちを軽く聞いた際の記憶を手繰って言う。
「そちらの二つ名もあるよ。知名度としては「越後の龍」に劣るけど。それに夜長さん、その理屈だと信玄様は諱(いみな)の「晴信」が有名だから「甲斐の晴れ男」と「越後の虎」になってしまう」
淡々と答える佐助に夜長も考える。
「だから、「甲斐の虎」と「越後の虎」でも良いんじゃないかと思って。晴れ男なんて、ちょっと武将の二つ名としては……」
「戦場での晴天は有難いけれどね」
二人の呑気な会話に幸村が笑い転げ続け、信玄と謙信は不機嫌な顔である。

「幸村は何かないのか?」
謙信が口を開く。
そこでやっと幸村が笑うのを止め、「え?俺ですか?勘弁してくださいよ」と慌てる。
「私はあまり詳しくないんです。佐助君の方が詳しいから」
「佐助、どうなんだ?」
謙信に急かされ、佐助は腕を組んで考える。
「食べ物より、幸は歴史の研究家の中で「日ノ本一の兵(つわもの)」と評されている、っていうのが一番に出てきたな」
「本当か?」
幸村が嬉しそうに言う。
「そうなの?名前は私も知っていたけれど、そんなに評価されているんだね」
夜長も感心する。
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