第5章 サキの術・暗部時代
かかしサイド
眼をあけると同時に、蘇る過去の記憶_____
たった今それらの出来事が起こってきたような感覚を覚える。
でも目にうつるのは、見慣れない部屋の一室…
サキの術は、過去の俺の様々な闇の場面に現れ、その時の俺に寄り添ってくれ一緒にその重荷を共有して、導いてくれるものだった。
俺の過去は決して変わったわけじゃない。
過去の俺といっても、それは今の俺自身でもある。
だが一緒に重荷を共有し導かれたことで、目が覚めた俺の心は前とはくらべものにならないほど軽く、そして何をもってこれから生きるのか明確となっていた。
暗部を解任され、担当上忍となる_____
左目にオビト
右手にリン
左手にミナト先生
胸の下にクシナさん
そして俺自身は父さんの意志そのもの、分身であり宝
これから俺はみんなの意志を
次の世代に託す時がようやくきたんだ___
暗部の任務にも結局またのまれ、わかっていたはずの道すらまた迷ってしまっていた。
これからのことも自信がなくて不安だった。
だけど、今なら____
ゆっくりと起き上がり、目の前に座っている彼女に目を向ける。
サキは笑って言った。
「また…会えたね、かかし」
俺はサキを強く抱き寄せた。
なんだろう…
なんだか、なかなか手にいれられないモノをようやく手にしたうれしさと安心感を得た子供のような感覚だ…
「サキ…ありがと…ほんとにありがとう…」
ポンポンと背中を叩いてくれるその安心感を俺は知っている。
「火影岩のとこで会った時と比べて、それぞれの色がはっきり見えるようになったよ。それに左胸の真っ黒な部分、いまそこは空洞になってる。
これからかかしが何を得てそこに埋めていくのか…
これからがまた頑張り時だね、かかし」
そういって彼女は俺を励ましてくれた。
これが俺とサキとの初めての、少し不思議な出会い___