第5章 サキの術・暗部時代
「前にも言ったよね?全部、みんなの意志はかかしと一心同体。それを生かすも、殺すもあなた次第…。
かかし。闇にのまれても、また息をしなおして、もがいて、また息をするの。それでいいの。
その意志を引き継いで、またその意志を誰かに託せるまで生きるの」
「…っ…ふっ…っ…」
「そうやってかかしが感情を出さないと、私がまた泣いちゃうよ。だからこれでいいの」
小さくなった君を私から抱きしめに行く。
今度はその大きな手で私をしっかりと受け止めてくれた。
これがかかしが生かされている意味
私は、伝えることしかできないけど
その心と体全体で感じて
かかしは、ほんとは一人なんかじゃないんだよ
胸のなかで泣きじゃくるかかしは、まるであの小さなころに戻ったようだった。
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「サキ…帰ろ…」
「うん」
ひとしきり泣いて、これまでの感情をすべて吐き出した君は、行くべき道が定まったのか、遠くを見すえるその眼は強かった。
左目は鮮やかな赤を
右手は柔らかな薄紫色
左手は光のような金色
胸の下は暖かくも強いチェリーレッドの色がかかしを包み込んでいる
それに…なんとなく、かかしの後ろ姿にぼんやりと同じ銀髪をした、かかしよりも少し大きな背中が見える気がした
かかしに連れられてきた家は、もう一軒家ではなく木の葉のアパートになっていた。
「もうあの一軒家じゃないんだね」
「一応残してはあるけど、暗部だし一応火影様に近い場所に変えなきゃならなかったから」