• テキストサイズ

闇・色

第5章 サキの術・暗部時代


「かかしは、私を覚えてた。だったら…何しにここに来たか、知ってるはずだよ」


「また…俺を置いていくのに?」


それを言われると、胸が痛い。
狐の面で顔は見えないまま。

でも君の色は、私と再会できたことで、ほんの少し色に変化が出たんだよ?

かかし、ありのままの自分、出せなくなってるんだね…
感情も殺して、暗部として、たくさんのことにのまれて、また息をして、またのまれて…


面をしてたって、君の心はわかる。
それが、敏感な私には細胞レベルで感じるのだ。

さらに真っ赤になった空の差し込む夕日が2人を照らす___



「なんで…サキが泣くの…?」



そう言った君の声は、ほんの少し動揺してる。
これは、かかしの感情。
細胞レベルまで感じたかかしの心の叫びが、私を通して、私の眼からあふれる。


「私じゃない…これは…かかしの感情…かかしの心の叫び…」

静かに、でもとめどなく流れる涙は止まることをしらない。

それを見つめる君は、何を思う?



あれだけ動かなかったかかしが、そっと面に手をかけ、ゆっくりとはずす。

そこには、もう少年とは違った、大人の男らしさの混じる綺麗な整った顔が、瞳を揺らして、私の前に現れた。


「俺の代わりに…泣いてくれてるの?」


静かに頷いたあと、私は君に問う。


「いつから…そこまで感情を押し殺すようになったの?」


すると、眼を泳がせた後そらし、何も言わない君。


「オビトくんと、リンちゃん、お父さんの意志も忘れちゃった?」

「違う、そんなことない!」


そこだけは、大きく否定する。





「じゃあ…いつからそんな…死に急いでるの?」




君は、あれだけそらしていた眼を私にむけて見開いた___



君の暗闇の中には、もう自分のことなんかどうでもいいといった、死相のオーラもでていた。

かかしは、間違いなく、いつ死んでもいいと思っている。


「‥‥サキには、やっぱり…隠せないんだね…」


そういう君はその場にしゃがみこんだ。


/ 43ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp