第4章 サキの術・少年時代2
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「…手なら繋いであげてもいいけど…」
そう視線をずらして、顔を赤らめながら言う。
「じゃ、おかまいなく…」
「うわっ!!!」
繋いだ手を引っ張って、またこの胸に抱きかかえる。
「サキ!!俺は手って言ったの!抱き着いていいなんて言ってない!」
顔を真っ赤にして布団から抜け出ようとする、ほんの少し大きくなった君を、それでも無理やり抱きよせる。
「サキーーーー…苦し…」
「ふふっもう観念しなって」
そういって笑う私を、大きなため息をついて抵抗するのをやめた。
まだほのんりほっぺが赤い君も愛しい。
「俺には観念しろっていうくせに…
俺が行かないでっていっても…行くんでしょ?」
ちょっと拗ねたように君は私に尋ねる。
「ごめんね…」
「…謝るなよ…」
「明日目が覚めたら、また…かかしは強くなってるよ」
「うん…サキ…ありがと…」
「素直でよろしい。ふふっ」
抱き寄せて君をなでていると、心地いい寝息が聞こえてきた。
今の私とは再会しないほうがいい。
だって、会う回数が多ければ多いほど、それはかかしの闇の数を表しているのだから。
次がもうないほうがいい。
そう願いながら、胸で眠る小さな君をまたぎゅっと抱きしめた。