第25章 返事
来実の肩に顔を埋める謙信
するとチクリとした痛みが走った
「んっ」
(…っ!これ早雲様の時と同じだ)
思わず漏れた口を塞ぐと
「あの…」
「消毒だ」
と言って髪をまた触る
(落ち着かない…)
頭を撫でる謙信の手はとても優しい
心地よくとも顔が近いため
来実は視線を逸らす
(会話会話…)
「あ、その、城下楽しかったです」
「そうか」
「お小遣いありがとうございます
働いて返しますね」
「いらん、残りも持っておけ
どうせ自分の物はひとつしか
買ってないのだろう?」
「どうして分かるんですか?」
「来実のことは何でも分かる」
ふわりと微笑まれる