第25章 返事
「謙信様来実です」
「入っていい」
「失礼します」
部屋に入ると文机で文を書いていた
「あの、仕事ですか?」
「ああもう終わる」
と言って筆を置いた
「待たせたな」
「いえ、私を呼んだ理由は
なんでしょうか?」
と言うと謙信は来実の近くに座った
そして
「っ!」
さらりと来実の髪を撫で耳にかけると
びくっと肩を震わせた
「耳の傷の調子はどうだ?」
(あ…その事か)
謙信は心配そうに顔を覗く
「大丈夫ですよ
お医者様のお陰で塞がりましたから
心配して下さってありがとうございます」
「そうか…だが此方の傷は
良くないようだな」
「え?」
(他に怪我してたっけ?)