第4章 色々と問題はありそうです
昼食後の4限目の授業は音楽。
音楽室で先生が来るのを待つも一向に来る気配が無い。 授業の始まりを知らせる鐘の音が鳴っても先生が部屋に入ってくることは無く、生徒たちは雑談を楽しんでいた。
『先生何かあったのかな?』
「まー音楽なんてめんどいしこのまま終わればラッキーでしょ」
「先生を捜しに行ってくる」
そう言ってデュースが席を立った時、
「いつになったら静かになるのかしら!」
女性の怒声が響き渡り、教室が静まり返る。
姿が見えない声の主をみんなで捜す。 が、隠れられる場所なんてないのに見当たらない。
「わたくしは此方にいます! まったく今年の1年生は」
「オイ……あれ」
エースの指さす方にみんなの視線が集まる。
そこにいたのは、眉間にシワを深く寄せ険しい顔をした中年女性の肖像画。
「わたくしは音楽の授業を担当するマダム・マドレーヌ」
みんな呆然とマダム・マドレーヌを見つめる。 肖像画が教師なのは普通じゃないみたい。
「あ、そういえば兄貴が言ってた。 この学校、肖像画やゴーストが授業をすることがあるって」
「そうなのか!?」
『すごく魔法学校っぽい』
「こらそこの3人! 静かになさい!」
「「『すみません』」」
今日は最初の授業ということで特に歌うことは無く、いかに音楽が素晴らしく偉大な力を持っているのかをマダム・マドレーヌがただ熱く語っているだけだった。
「は~やっと終わった」
「怖い先生だな。 マダム・ママレード」
『マダム・マドレーヌだよデュース。 先生の前で名前間違えたら大変』
「気を付ける……」
「あのオバちゃんおっかねーんだゾ」
『グリム。 お願いだから音楽室内で"オバちゃん"って言葉絶対に言わないで』
歌は得意じゃないし好きでもない。
おまけに先生は怖い。 ダントツで。
「次の5限目は飛行術か。 やっと最後の授業だな」
不安で沈んでいた気分がデュースの言葉で急上昇する。
『飛行術!? ねぇ、それって空飛ぶあれ?!』
「あ、あぁ。 箒に乗って飛ぶんだ」
興奮する私にデュースは若干引いているが、嬉しさを押えられない。
魔法っといったら思い浮かぶことトップ3!
魔法薬、呪文、空飛ぶ箒!
「なんかかっこいい響きなんだゾ!」
飛行術が楽しみなのはグリムも同じだった。