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王子と悪徒の異聞奇譚

第4章 色々と問題はありそうです


「諦めるなウテナ! お前なら出来る!」

「もっと手をこうかざしてみたらどうかな」

「誰が主人なのか教えてやる感じで!」

『浮け! 浮けっ!』

励ましてくれるが箒は1ミリも動いていない。
3人とも一回の命令で浮いたのに……やっぱり魔力が無いとダメなのかな……悲しい。
1人だけ箒に命じ続けている私に気付いたバルガス先生が目の前にやってくる。

「まだ箒が浮いていないのはお前だけか」

クスクスと笑い声が聞こえてきて凄く惨めな気分だ。

「箒が掴めた奴は跨って地面から1メートルの高さで留まる練習をしろ!」

ピーッ!と笛の合図と共に生徒達が浮く練習を始めた。

「ウテナだな、学園長から話は聞いている。 魔力がないと箒で飛ぶのは難しい。 少し授業内容を変更――」

『待って下さい!』

「どうした?」

このまま何時間命じ続けても箒は応えてくれないだろう。
でも、「魔力がないから仕方ない」で終わらせるのは悔しい。
何か方法はないのか。
飛べる、或いは浮ける何か……そうだ!

"浮揚薬"!

あれは物を浮かせることができる魔法薬だったはず。 浮揚薬を使えば箒も浮かせられて飛べるかもしれない。 やってみる価値はある。

『時間を下さい! お願いします!』

頭を下げてバルガス先生の返事を待つ。

「その心意気、気に入った! よし、1週間の期限をやろう。 その間に箒を浮かせられたら飛行術の授業を受けていい。 出来なかったら残念だが授業内容を変更するぞ」

『はい! ありがとうございます!』

魔法薬なんて作ったことないけどなんとかなるだろう。
なぜなら! 今の私には頼れる3人の友がいるのだから!

「オレ、魔法薬あんま作ったことない」

「大釜なら提供できるぞ」

「僕も魔法薬に関しては……」

……まぁ、少なくとも大釜は手に入れた。

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