• テキストサイズ

王子と悪徒の異聞奇譚

第4章 色々と問題はありそうです


なんでも、1年生の序盤は魔法の実践より基礎を学ぶ座学が中心なので魔法が使えなくても支障はないそうだ。

「魔法が使えなければ昨日のような騒ぎも起こさなくてちょうど良いだろう? さあ、昼食を食べたらダラダラしゃべっていないで早く次の授業の支度を」

エース達の寮長って静かな鬼教官って感じ。 失礼だけど。
早く席を立たなければいけないのは、ハートの女王も法律・第271条『昼食後は15分以内に席を立たねばならない』に抵触するからだと。

「ルール違反は……おわかりだね?」

「はぁ……また変なルール」

「返事は「ハイ、寮長」!」

「「ハイ、寮長!」」

「よろしい」

こ、こわ……

返事に満足した寮長は、ハートの女王の法律・第339条『食後の紅茶は必ず角砂糖を2つ入れたレモンティーでなければならない』を守るため、購買へ角砂糖を買いに行くために食堂を後にした。
不機嫌そうに何かを呟きながら。

緊張が解けて肩の力が抜ける。

「寮長、行ったか?」

「俺、ハートの女王の法律・第186条『火曜日にハンバーグを食べるべからず』に反してハンバーグ食べたから、見つかったらどうしようかと思った」

緊張が解けたのは私達だけではなかった。

「食うものくらい自由にさせて欲しいよな~」

そして不満を抱いているのもエースだけではないようで、ハートの女王の法律に対する不満が聞こえてきた。

「寮長は入学して1週間と経たずに寮長の座についた。 少し言葉がキツくなりがちだけど、寮を良くしようと思ってのことで、根は悪い奴じゃないんだ」

「根が良いヤツはいきなり他人に首輪つけたりしないんだゾ」

『あれは暴れたグリムが悪い』

首輪をつけていなかったら学校が丸焦げになってただろうし、あれはつけられて当然かな。

「ぐ、ぐぬぬ……」

「そういや、オレタルト買って帰らないとまたケイト先輩に追い出されるわけ?」

「そうだね~。 ハートの女王の法律第53条でそう決まってるからさ」

寮長はホールケーキの最初の1ピースを食べるのが楽しみだそうで、ホールで持ってこないと寮内へ入れることはできないとケイト先輩に言われた。

しかし、タルトのホールはなかなかのお値段らしく、買えるほどのお金を持っていないエースは肩を落とす。
私も貸してあげられるほどお金持ってないし……
/ 61ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp