第4章 色々と問題はありそうです
「遠くから見るだけでなく気軽に話しかけにくればよかろう。同じ学園に通う学友ではないか。 我がディアソムニア寮はいつでもお前たちを歓迎するぞ」
そう言われて彼等の方をチラッと見やると、こちらをにこりともせずに真顔で見つめている。
いやいや、話しかけるなオーラめっちゃ出してますけど……
「クフフ。 食事中上から失礼したな。 ではまた、いずれ」
リリア先輩が去った後、エースが小声で隣のトレイ先輩に話しかけた。
「あっちの席とオレたちの席、軽く20メートル以上離れてんのにオレらの話が聞こえたってこと? コワッ!」
「ま、まあ……ディアソムニア寮は少し特殊な奴が多いイメージだな」
私からすれば全ての寮の生徒が特殊なのですがね……
そして、ディアソムニア寮寮長のマレウス・ドラコニアが世界でも五本の指に入るとんでもない魔法士だという話から、ハーツラビュル寮寮長のヤバさの話へと発展した。
「ウチの寮長も激ヤバなんだけど~」
軽いノリで言ったケイト先輩にエースが激しく同意する。
「ほんっとにな! タルトを1切れ食ったくらいでこんな首輪をつけやがって。 心の狭さが激ヤバだよ」
「ふうん? ボクって激ヤバなの?」
エースの背後に見覚えのある人物が、腕を組んでエースを見下ろしている。
しかし、彼に気付くことなくエースは話を続ける。
「そーだよ。 厳格を通り越してただの横暴だろ、こんなん」
「エース! 後ろ!」
エースがこれ以上余計なことを言う前にデュースが遮る。
「でぇっ! 寮長!」
エースの顔は血の気が引いて真っ青だ。
ケイト先輩が冗談を言って宥めようとするも見事に失敗。
「ふな゛っ!? コイツ、入学式でオレ様に変な首輪をんん゛!」
こちらにまで飛び火しないようグリムに腕を回して口を塞ぐ。
「人のユニーク魔法を「変な首輪」呼ばわりするのやめてくれないかな」
学園長は甘いだの規律違反をした人はみんな首をはねてしまえばいいのになど顔に似合わず怖いことを言う。
「……あのーところで寮長、この指輪って外して貰えたりしませんかね?」
このタイミングでそれ言うの!? 謝罪すらしてないじゃん!
「反省しているようなら外してあげようかと思っていたけど、先ほどの発言からして反省の色があるようには見えないな。 しばらくそれを付けて過ごすといい」
