第4章 色々と問題はありそうです
ハートの女王の厳格な精神に基づく『ハーツラビュル』
百獣の王の不屈の精神に基づく『サバナクロー』
海の魔女の慈悲の精神に基づく『オクタヴィネル』
砂漠の大賢者の熟慮の精神に基づく『スカラビア』
美しき女王の奮励の精神に基づく『ポムフィオーレ』
死者の国の王の勤勉な精神に基づく『イグニハイド』
茨の魔女の高尚な精神に基づく『ディアソムニア』
『そんなにあるんですか』
寮の振り分けは入学式で闇の鏡が魂の資質を見て決めるそうだが、なんとなく寮ごとでキャラが決まっているらしい。
『どういうことですか? キャラって』
「例えば……ホラ、あいつ」
トレイ先輩が視線を向けた先には獣の耳が生えた筋肉粒々の生徒が。
「あのゴツさは見るからにサバナクロー寮って感じだな」
「それな~運動とか格闘が得意なタイプが多い寮なんだよね。 黄色と黒の腕章つけてるのはサバナクロー寮」
各寮生は寮のイメージカラーの腕章も付けており、それぞれの寮の色を教えてくれた。
「紫と赤の腕章をしてる、あっちのやたらキラキラしいのはポムフィオーレ寮」
『あ、エペルだ』
ポムフィオーレの説明の時に見たテーブルには見知った顔があった。
「昨日見たあの超可愛い女の子だゾ!」
「エッ!? 男子校なのに!?」
「ほらエース、私が言ってた女の子はエペルのことだよ」
「あぁ、エペルのこと言ってたのか。 確かに女に見えるけどアイツは男だぜ。 男子校に正式入学した奴に女がいるわけないでしょーが」
じゃあエペルは男!? あんな可愛い子が!?
衝撃の事実に唖然としていると、ケイト先輩が詰め寄ってきた。
「ウテナちゃんとエースちゃんいつあの子と知り合ったの!?」
『私はシャンデリア事件が起こる約20分前に』
「オレは入学式の時」
「なるほどね~」
その後も寮の説明は続き、最後の寮『ディアソムニア』の話に。
「ディアソムニア寮はあの食堂の奥の特等席に固まってるメンツ」
奥の席を見るとどこか近寄りがたい雰囲気を漂わせた集団が座っていた。
中には子どもと見紛う容姿の人物もいる。
「あれ? 子どもが混じってる」
「彼はこどもじゃないぞ。俺たちと同じ3年の……」
「リリアじゃ。 リリア・ヴァンルージュ」
『っ!?』
突然目の前に顔が現れた。 しかも逆さの状態で。