第3章 楽しい学園生活の始まり始まり
午前の授業が終わり、エネルギー補給の時間がやってきた。
「やっとお昼休みなんだゾ~!」
ゾンビ見たいにげっそりしていたグリムが生き返った。
「美味しそうなものがいっぱいなんだゾ!」
食欲をそそる多くの料理が私を選んでと訴えてくる。 オンボロ寮では食べられない豪華な食事。 学食で食べるお昼ご飯は学園長持ちだが、一日に一度しか食べられないのがに非常に残念……
「ふわふわオムレツ! 鶏肉のグリルにベーコンエッグタルト!!」
「だーっ声がでかい! 休み時間だけ元気になりすぎだろコイツは」
「なぁなぁウテナ! オレ様鶏肉のグリルがいい! 最後の一個なんだゾ! あ、あとオムレツも! ジャムパンも! いっぱい取って欲しいんだゾ!」
『はいはい、分かったから足にしがみ付かないで』
子どもみたいにはしゃぐグリムが可愛くて思わず笑みがこぼれる。
料理を取っていると背後から怒鳴り声が聞こえてきた。
何事かと振り向くとグリムがガラの悪い2人組に絡まれていた。
「お前がぶつかってきたせいでパスタの温玉が崩れちまったじゃねぇか!」
「おいおいおい~ぷりぷりの温玉を崩すのはカルボナーラ一番のお楽しみだぜ? どう落とし前つけてくれんだよ!」
ここって一応名門校なんだよね?
こんなチンピラみたいな生徒でも入学出来ちゃうんだ。 驚き。
『グリムがご迷惑をおかけして申し訳ありません。 私が今から代わりの料理を取ってきます』
「いいや、慰謝料としてその鶏肉のグリルをいただこうか」
「ふな゛っ!? い、嫌なんだゾ!この肉はオレ様のだ!」
温玉ぐらいでそんな……
ちゃんと周りを見ずにはしゃいだグリムにも落ち度がある以上、今日は鶏肉のグリルを諦めてもらうしかないかな……
断って騒ぎが大きくなるのも嫌だし。 ごめんグリム。
鶏肉のグリルを渡そうと思ったが、次の言葉で気が変わった。
「あ? 新入生のくせに先輩に対する態度がなってないんじゃねえの? ちょっと裏来いよ!」
先輩に対する態度がなってない? 何それ。
『そんなに食べたいなら――』
持っていたアツアツの鶏肉のグリルを相手の顔面に押し付けた。
『どうぞ召し上がれ』