第3章 楽しい学園生活の始まり始まり
「私はレポートだけでなく授業態度でも評価を行うぞ。 居眠りは許さない。 では、まずテキスト15ページを開いて。 ドワーフ鉱山で宝石の採掘中に発見された魔法石についてだが……」
トレイン先生の話を聞きながら教科書の文字を目で追っていると、不意に別の声が聞こえて思わず顔を上げる。
声の主はルチウスだった。
「オ゛ァ~~」
自分も授業をやっているつもりなのかな。 可愛い。
「この世紀の発見により魔法エネルギーは広く世界に知られることになり、この年は魔法元年と呼ばれ―――」
「オ゛ァ~~ファッ」
トレイン先生が喋る度に鳴くので、それが気になって集中出来なくなってきた……
それでもなんとか先生の話を聞き逃さないように頑張る。 けど、次は周りからあくびや寝息が聞こえてきた。
周りを見回すと大半の生徒がうとうとしており、中には机に突っ伏して爆睡している生徒もいる。
なんとか魔法史の授業を乗り切り次に待っていたのは"体力育成"。
運動着に着替えて運動場へ行くと、真っ赤なトレーナーを着た筋肉粒々の男性が仁王立ちしていた。
「オレはバルガス。 お前らモヤシ共の体力育成を担当してやることのなった。 優秀な魔法士は健全な肉体から! そんなわけでまずはグラウンド20周、次に腕立て伏せ100回!」
『えぇ!? そんなの体力持たないよ』
明らかにおかしい回数なのに誰もツッコまない……こっちではこれが普通なの!?
「行くぞお前ら!」
「アイツなんであんなに張り切ってんだ~?」
「オレ様はハムスターみたいに走るの嫌なんだゾ」
『こらグリム。 座らないの』
座り込むグリムを立たせ、デュースの後を追う。
こんなに運動したのは生まれて初めてで走馬灯が一瞬見えた気がする。
肺が爆発しそうになりながらもなんとか全ノルマを達成することが出来た。
「えーっと、次の授業は……」
「なーんか魔法学校っつっても普通の学校とあんまり変わらないっていうか」
『普通の学校? 全部魔法学校じゃないの?』
「みんなが魔法使えるわけじゃないから、当然普通の学校も存在するぞ」
『へ~そうなんだ』
てっきりこの世界の住人はみんな魔法が使えるのかと思っていた。
「思ったより地味っつーか、魔法が使えなくても別にそこまで困んねーな。 グリムもそう思わね? ……ん?」
『グリム?』
