第3章 楽しい学園生活の始まり始まり
『は、はい』
「よくあんなとこ住めるね~! 暗そうだしマジカメ映え最悪ってカンジ。 ホント同情する~」
「コイツ、さっきからちょいちょい失礼なんだゾ」
『あはは……』
私だってここみたいな立派な寮に住みたかったよ!
「って話し込んでる場合じゃないんだった! パーティの開催は明後日。 遅れたら首が飛んじゃう」
ケイト先輩の顔が急に険しくなった。
「ねーねー君たち、薔薇を塗るの手伝ってくれない?」
自分はクロッケー大会に使うフラミンゴの色塗りがあるから、と。
『グリムの予想通り、パーティ用のタルトだったんだ……』
「エースがつまみ食いしたタルトは寮長の誕生日パーティ用だったんですね。 だからすごく怒った……と」
「んにゃ? 違うけど」
「違うんかいっ! じゃあ誰の誕生日なんすか?」
「誰の誕生日でもない、我が寮伝統の『なんでもない日』おめでとうのパーティ」
誰の誕生日でもない日を選んで、寮長の気分次第で突然開催されるティーパーティなんだとか。
ケイト先輩に促されるまま、デュースとグリムは魔法で、魔法が使えない私とエースはペンキバケツと刷毛を持って作業に取り掛かる。
『まさか薔薇を塗る日がくるなんて』
刷毛に真っ赤なペンキを絡め、純白の薔薇を真紅に染めていく。
グリム達はどんな調子か見てみると、薔薇が青、緑、ピンク……とカラフルな色に。
しかし、そんな失敗を無かったことのように、ケイト先輩があっという間に赤く染め直していた。
「見ろ、今度は一発で赤に濡れたんだゾ!」
「こっちもです!」
コツを掴んできたグリム達は薔薇を着々と赤く染めていく。
「はぁ~! オレも魔法使いてぇ~!」
『楽しそうだね……魔法』
魔法を使えない私にとっては手作業なんて当たり前……なんだけど……
やっぱりちょっと羨ましいなぁ……