第3章 楽しい学園生活の始まり始まり
「おうおう、どけどけ~い」
メインストリートへ着くと、首輪の魔法石を見せびらかすようにグリムが胸を張る。
「見ろこの首輪を。 オマエのダッセー首輪と違ってめっちゃキマッてるんだゾ。 しかもオマエ、今は魔法が使えないんだろ?」
「グリム?」
エースの方を振り向いたグリムが満面の笑みで煽り始めた。
「今日は一日雑用係として学校の掃除でもしてたらいいんだゾ。 にゃっはー! いい気分!」
昨日馬鹿にされたことをまだ根に持ってるんだ……
「お前、オレが魔法使えるようになった時覚えてろよ!」
「とにかく、魔法が封じられたままでは授業もろくに受けられない」
え、魔法が使えないとろくに授業が受けられないの?
大丈夫かな……
「ローズハート寮長に謝って外してもらったらどうだ?」
「授業が始まるまでまだ時間があるし、オレ様別の寮も興味あるんだゾ」
「私も見てみたい!」
エースは気が進まないみたいだけど、私もグリムもエース達の寮がどんなところなのか興味がある。
エースが謝りに行くついでに見学することになりちょっと楽しみ。
「見世物じゃねーぞ! ちくしょー!」
グチグチ不満を言うエースを無視して、各寮へ続く鏡の扉が並ぶ『鏡舎』へ向かう。
「おしゃれな鏡だなぁ……」
昨日は気付かなかったけど、鏡の縁にはそれぞれ派手な彫刻が施されていた。
エース達の寮”ハーツラビュル”へ続く鏡にはトランプと薔薇の彫刻が。
「わ~楽しみ!」
「そんなに早く見たいならお先にどうぞ」
「オレ様が一番なんだゾ!」
エースに順番を譲られ、グリムが消えた後に鏡の前に立つ。
光が視界を覆い尽くし体が前へ引っ張られる感覚がする。 ドワーフ鉱山へ行った時とは少し違う……
目的地へ着く時はバランスを崩し易いから注意しないと。
光が薄れ始めたからそろそろ着く頃だ。
「んがッ」
「ふな!?」
思っていた衝撃と違う。
ドワーフ鉱山へ行った時は重力が上からそのまま降りてきた感じだったけど、今度は前へ引っ張られた。
「うわっ、そんな所で転がってたら邪魔だろ」
「またバランスを崩したのか?」
「危うく潰されるところだったんだゾ」
鏡での移動は初心者なんだから仕方ないじゃん……