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王子と悪徒の異聞奇譚

第3章 楽しい学園生活の始まり始まり


「……」

無言のままポカンとこちらを見つめるエース。
何か可笑しな事言っちゃった? もしかして友達だと思われてなかったとか!?

『ごめん、なんか偉そうなこと言って』

「いや、べつに……」

"友達"だと口にしたことが気恥ずかしいのか、エースは頬を赤らめてそっぽを向いた。 意外と可愛いとこあるじゃん。
そんな可愛いエースが首輪を付けたままなのは可哀想なのである提案をする。

『好きなだけここに居ても構わないけど、明日謝りに行ったら? ずっとその首輪が付いたままじゃ困るでしょ?』

「食べ物の恨みは恐ろしいんだゾ……アッ! そういえばオレ様もまだ学園長からツナ缶もらってねえんだゾ!」

そういえばそんな約束してたっけ。 多分忘れてる。

「はぁ、わかったよ。 謝ればいいんでしょ。 ウテナが提案したんだから一緒に来いよな」

困っている友人は放っておけない。

『私でよければ』

「サンキュー。 じゃ、とりあえず今日どこで寝ればいい?」

「オメー本当に泊まる気か。 オレ様とコイツの部屋以外はまだどの部屋も埃だらけなんだゾ。 寝るなら自分で掃除しろ」

グリムが呆れたように言う。

「げっ、掃除とか絶対やだ」

もう結構遅い時間でエースも疲れてるだろうし、今から掃除をさせるのは流石に可哀想。 かと言って私も掃除をする気になれない。

『じゃあ今日は私達と同じ部屋で寝る? 2人だと少しベッドが狭いかもしれないけど、それさえ我慢してくれれば……エース?』

段々と顔が赤くなっていくエースにどうしたのかと尋ねようとしてハッとした。

『もしかして何か期待してる?』

「はぁ!? してねーよ! お前なんかぜんっぜんタイプじゃねー!」

足を組んで挑発的な笑みを向けると、エースがバッと立ち上がって向きになって否定する。 冗談で言っただけなのにそんな全否定しなくても……

「ん? エース、オマエなんで急に怒ってるんだ? 期待って? もしかしてウテナ、オレ様に隠れて美味いもんでも食うつもりか!?」

『グリムに内緒で美味しいもの食べたりしないから』

「なら良いんだゾ」

グリムがあまり詳しく聞いてこなくて良かった。
純粋な子どもがいるつもりでいないと。

「オレは談話室のソファーで寝るから。 おやすみ!」
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