第3章 楽しい学園生活の始まり始まり
「んじゃ、また明日なウテナ」
「しっかり休めよ」
『おやすみ、2人とも』
エース達と別れ、グリムと共にオンボロ寮へ足を進める。
『そういえばエース、デュースの名前ちゃんと言ってたね。 デュースもエースの名前覚えたみたいだし』
「なんだかんだいいコンビなんだゾ。 ケンカするほど仲がいいってヤツかもしれねーな」
『そうだね』
明日から生徒として学校に通うなら、もう少しオンボロ寮を快適にしたいな。
浴室はボロボロだしバスタブはひびだらけでお湯に浸かることもできない。
カビ臭いベッドもどうにかしないと。
自由に使えるお金が貯まったら最初にベッドを買い替えよう。
凄く久しぶりに帰ってきた気がするオンボロ寮は、夜の闇で一層不気味さを増している。
談話室の灯りをつけると、テーブルの上には朝は無かったはずのものが置かれていた。
「あ! 見ろよウテナ。 なんか色んな物が置いてあるんだゾ」
学園長からかな。
タオルや歯ブラシなど最低限の生活必需品が置かれている。 嬉しいことに食料も。
「オレ様お腹がペコペコなんだゾ……」
支給された食料は2日分ぐらいかな。 明日の最優先事項は食料調達。
今日の我々の夕飯はソーセージ入りのパン。
『ご馳走様』
「美味しかったんだゾ~」
空腹が満たされると急に襲い来る眠気。 少し休んでからシャワーを浴びよう。
眠りについたグリムを部屋へ運び自分も横になる。
―――――
――……
……
「急いでバラを赤く塗るんだ」
声が聞こえて目を開くとそこは白い薔薇が咲き誇る薔薇園だった。
辺りを見回すと、トランプを思わせる格好をした人物・トランプ兵がせっせと薔薇を赤く塗っていた。
真っ赤なペンキを辺りに撒き散らしながら薔薇を塗っている彼らを眺めていると、青いドレスの少女が現れた。
「なぜ白いバラを赤く塗るの?」
そう尋ねると、彼らはさも当然のように答える。
「女王様は赤がお好きなんだ」
「でも間違えて白いバラを植えてしまった」
「だから俺たちはバラを赤く塗るのさ」
……
――……
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「……あ、」
なんだか不思議な夢を見ていたような気がする。
前にも見たことのあるお話……でも良く思い出せない……