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王子と悪徒の異聞奇譚

第2章 夢ではなかった


「貴方は魔法が使えない。 ですが、おそらく使えないからこそ、魔法を使える者同士をこうして協力させることが出来た」

『いや、あれは2人の額と額をこんにちはさせたからであって』

「きっと貴方のような"平々凡々な普通の人間"こそがこの学園には必要だったのです!」

『私、褒められてる?』

「全然いいこと言ってなくね!?」

やっぱり褒められていないのか。

「貴方は間違いなくこの学園の未来に必要な人材となるでしょう。 私の教育者のカンがそう言っています。 トラッポラくん、スペードくん、2人の退学を免除するとともに―――」

うーん……私の何をどう見てそう思ったのか本気で分からない。
でも、エースとデュースが退学を免れることができて良かった。

「貴方にナイトレイブンカレッジの生徒として学園に通う資格を与えます!」

「「えぇっ!?」」

『生徒!? いや、でも私魔法使えないのにいいんですか?』

「ええ、何せ私、とびきり優しいので」

満面の笑みで言う学園長が怖い。

「ですがひとつだけ条件があります。貴方は魔法が使えない。 魔法士としては論外です。満足に授業を受けることすら出来ないでしょう」

たしかにそうだ。 もしかして魔法が使えるようになるスーパーアイテムでもあるのかな?

「そこでグリムくん。君は今日、魔法士として十分な才能を持っていることを私に証明しました」

これってもしかして……
食い入るように学園長の話を聞いているグリムに視線を向ける。

「―――よって、ウテナくんと2人で1人の生徒として、ナイトレイブンカレッジの在籍を認めます」

「ふな"っ!? オ……オレ様もこの学園に通えるのか? 雑用係じゃなく生徒として?」

「はい。 ただし、昨日のような騒ぎは二度と起さないように! いいですね?」

「ふな……っ」

『よかったね、グリム』

嬉しさのあまり涙目になってふるふると震えている。
色々あったけど万事解決かな。
めでたくナイトレイブンカレッジの生徒となったグリムは魔法石を与えられ、私は彼のお目付け役となった。

「すげーじぇんお前。入学したばっかでもう監督生になっちゃったわけ?」

『どういうこと?』

エースの言葉の意味がわからなくてデュースに尋ねる。
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