第2章 夢ではなかった
「あ~あ……なんでこんな事になっちゃったかなあ。 ついてなさすぎ……」
エースの愚痴に少し腹が立った。
『元はと言えばエースが私たちをバカにしたのが悪い』
「そうだそうだ!」
愚痴りたいのはこちらである。
「ぶつぶつ言ってる時間はない。 行くぞ!」
そうだ。 今はエースと言い合いをしている暇などない。
無い可能性の方がはるかに高い魔法石を探さなければいけない。
「闇の鏡よ! 僕たちをドワーフ鉱山へ導きたまえ!」
デュースが声高に唱えると、私たちの姿を映していた鏡が水面のように波打ち始め、瞬く間に眩い光と浮遊感に包まれた。
眩い光は次第に弱まっていき、同時に浮遊感もなくなっていく。
このままゆっくりと浮遊感がなくなっていくと思いきや、最後には一度に重力が戻ってきた。
「うわっ」
予期せぬ衝撃にバランスを崩して倒れかけたが、デュースが咄嗟に受け止めてくれる。
「目的地に到着する瞬間はバランスを崩し易いから気を付けろ」
『ありがとう』
デュース、ちょっと王子様っぽいな。 理想の王子像へ近づくために参考にしよう。