第23章 囚われた英雄
服が床に擦れる音がして、Nが私の位置を探りながら身体を寄せているのがわかった。
「ここだよ」と小さな声で呼ぶと、その後すぐ肩にNの身体が触れた。ふわりと長い髪が頬をくすぐる。
背が高いNは、私の背丈に合わせるのは大変だろう。私の首元に顔を寄せてジッパーの位置を探している。届きやすいように背筋をさらに伸ばしてみると、帽子のつばがぶつかって足の上に落ちたのがわかった。そしてすぐさま、首筋にやわらかな感触がした。
「ここは…首?」
吐息が首をくすぐる。
「うん、ジッパーは、もうちょい下…」
Nは鼻先を首につけたまま動かずに、そっと息を吸った。
「キミ、甘い香りがする…くさポケモンみたいだ…」
不思議そうに呟いてるけど、こっちは恥ずかしくて気が気じゃない。
「シャンプー…じゃないかな」
「そうか…とてもいい香りだ…」
「あ、あの…くすぐったいよ」
「すまない……、もう少し下だね?」
暗闇で一体私たちは何をしてるんだろう。
「少し我慢して」と囁きながら、Nは顔を下げた。