第23章 囚われた英雄
「いた、い、いたいよぉぉぉ…折れた、折れたぁぁぁああ!!」
グリーンにいたいのとんでいけをしてもらわないと、たぶん私は死ぬ。
すすり泣く私を見下げ、女のプラズマ団員は呆れ返り、一方で男の方は同情の色を見せる。
「おい、ヤバいぞ。医務室連れて行くか?」
「何言ってんのよ!演技で油断させる作戦かもしれないでしょ」
図星ではあるが演技ではなく本当に痛い。モゾモゾとキャタピーのように床を這い、バレないようにこっそりと荷台の上にあったハサミを足で蹴った。
「だって!何時間も身動き取れないでいきなり立たされたあげく、3分でトイレ行けってひどいですよ!こんなの焦りますよ!!」
痛みが臨界点を超えてもうやけくそだ。がむしゃらに声を張り上げて、ハサミが床に落ちた音を誤魔化す。チラッとNを盗み見ると、わずかに口角を上げて「いいね」をくれたのがわかった。
「な、何よあんた、さっきまでずっとおとなしかったのはニャース被ってたの?」
「ずーっと拘束されて暗闇に閉じ込められたことありますか!?もうこっちは精神ボロボロです!しかも痛いし! う…もう限界です…!」
「ちょっとやめてよ!ほら!早く行くわよ!」
「うう…優しい…ありがとう、ございます…」
「あんた情緒どうなってんの」
女のプラズマ団員は男の方にNの監視を命じ、私を通路の突き当たりにあるトイレへと連れていった。
そして、青あざになった脇腹に湿布を貼ってもらい(話したらそんなに悪い人ではなかった)、戻った時には荷物の作業は終わっており、Nの手にはハサミが握り締められていたのだった。