第23章 囚われた英雄
カツン、と杖が堅い床を突く音がして、Nと互いに顔を前方へと向ける。
プラズマ団の紋章が刻まれた旗を背に、ゲーチスは鋭い双眸をNに突き刺した。
「…Nよ、協力しないというのなら、ワタクシが世界を支配するその時を黙って見ていなさい」
「…何をするつもりなんですか?」
「ゼクロム、レシラムを使い、イッシュの建国神話で語られるキュレムの真の力を解放するのです」
Nは立ち上がり、再度ゲーチスに反論する。
「この島に暮らすポケモンやヒトの想いを踏みにじるというなら、ボクが絶対に止めてみせる!」
Nがゲーチスへ歩み寄ろうと前へ踏み出した途端、団員がNの手首に結びつけていたロープを強く引いた。ロープは容赦なく張りつめ、Nの体を引き止める。それでもNは、一歩踏み出そうと足に力を込めた。きつく結ばれたロープが、白い肌にくっきりと跡を残した。
「……この者たちを、閉じ込めておきなさい」
私たちの思いはゲーチスに聞き入れられず、暗く冷たい場所へと連れていかれ、私とNは幽閉された。