第23章 囚われた英雄
けれど、ゲーチスに私の声は届かなかった。
蔑むような目で一瞥してから、プラズマ団の下っぱに冷たく言い放つ。
「なんなんですこの者は?そもそもワタクシは、Nだけを捕らえるよう命じたはずですが?」
下っぱたちは焦りながら跪いた。
「はっ、ひとりになる機会を伺っていたのですが、ロケット団もゼクロムを狙っているとの情報を得て、早急にNを拘束すべきと判断し、やむを得ずその場にいたこの者も捕らえました」
報告を終えると、跪いた姿勢のまま、ゲーチスの言葉を待っている。
ゲーチスは、目を閉じて嘆息したあと、ゆっくりと言った。
「そうですか…。まぁ、いくらこの者が騒いだところで何の害もないですし、ロケット団を出し抜いたのであれば良いとしましょう」
恐怖で体が震える私を見て、Nがゲーチスへと向き直った。
「アナタの目的はボク——いや、ゼクロムなのであれば、彼女は解放してほしい。捕まるのはボクだけでいいはずだ」
「フフフ…、道具には道具なりの利用価値があるのです。それに、アジトの場所もわかっているこの者を、自由にする選択肢はありませんね」
「N。私は大丈夫」
そっと小さな声でNに伝えた。
「それにもし出ていけと言われても、Nをこのままひとりにしたら、きっと私はこの先ずっと後悔する」
心配させないよう笑ってみせる。たぶんまたヘンテコな笑顔になってるだろうけど、目が合うと、Nの表情から悲しみがほんのちょっとだけ無くなったような気がした。