第22章 はじまりの3人
ろくな返事ができないまま下を向いて歩いていると、グリーンの足が止まったのが見えて、私も立ち止まった。
いつの間にか家の前に着いていた。
「じゃーな。また明日!」
「うわあ!」
過去一頭をわしゃわしゃされて、せっかく洗って丁寧に梳かした髪がボサボサになった。
「やめてよ!もう!」
ぷんすか顔で睨むと、ゲラゲラ笑いながら、今度は上から下に指で優しく梳かすように撫でられる。あちこちにハネて絡まっていた髪は、すぐにおとなしくなった。
「夜更かししないでしっかり寝ろよ」
髪からそっと指が離れ、グリーンが一歩下がった。
「…あのっグリーン」
「なんだよ?」
振り向いたグリーンの声はとっても優しくて、なぜかナナミおねえちゃんを思い出した。
「えっと、おやすみ…!」
いろいろ伝えたかったけど、今の自分にはこれが精いっぱいだった。
「おう、おやすみ」
ずっと手を振ってると「はやく帰れ」と手であしらわれたので、諦めてドアノブに手をかけた。深呼吸してから、音を立てないようそーーっとドアを開けた。
足音がしないようにソロソロと廊下を進んでいると、洗面室を横切る時にお風呂場から鼻歌が聴こえてきた。お母さんはちょうどお風呂だったようだ。
ホッとしながら部屋に戻ると、向かいの窓に明かりがついたのが見えた。
窓の向こうにいるグリーンに、心の中でもう一度「おやすみ」と伝える。
なぜかそれだけでまたドキドキして、イーブイをぎゅってしながら目を閉じた。