第22章 はじまりの3人
「だから、なんでお見通しなの?」
「そりゃあオレさまが天才だから?」
全然理由になってない。
「へーえ」
それ以上聞いても意味ないなと思い、ジト目で睨んで終わらせた。
「そうだな……」
グリーンはお月さまを見上げながら、ぽつりと言った。
「眠れないなら散歩でもするか?そしたら気分が落ち着くかもだぜ」
「夜に出かけたら怒られちゃうよ」
「そりゃそうだ。だからバレないように出てこいよ」
「え?」
「お前んちの前で待ってるから、じゃーな」
「まって、行くって言ってない、ねえ、グリーン!」
グリーンは返事を待たずに、ぴしゃりと窓を閉めてしまった。
明日からおかあさんと会えなくなるのに、バレて怒られたらどうしよう。怒った勢いで旅も反対されるかもしれない。
そう考えると部屋から出るのが怖くなる。
(どうしよう、どうしようどうしよう…)
天秤にかけてみる。
怒られるか。グリーンに会うか。
すぐにガクンと天秤が傾いた。
(おかあさん、ごめんなさいっ!)
パジャマの上にカーディガンを羽織って、内緒で家を抜け出した。
悪いことをするのって、なんでこんなにドキドキして楽しいんだろう。
「うまくやったな」
「うまく…やれたのかな」
待ち合わせの玄関先で、グリーンが拳を出してきたのでコツンと合わせた。
グリーンは半袖とジャージだった。春だけど夜はまだ寒いのに。男の子って寒さに強いのかも。
「行こうぜ」
行き先も決めずに並んで歩き出す。
月明かりがきれいだった。